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熱帯魚の病気 - 症状、原因、対処方法
熱帯魚の病気 - 症状、原因、対処方法
熱帯魚がかかる病気というのはたくさんあります。中でもはじめのうちに病気を経験して治療の方法を身につけておかないと、大変です。獣医さんはいません。動物病院でネオンテトラを診てもらうことはできません。そのため、飼育者自身が知識を身につけて、魚用医薬品を使って治療するのです。
そういう飼育者の責任や知識が強く問われるところが、熱帯魚飼育の奥深さの1つなのかもしれません。自分で深い専門的知識を調べて身につけて実践していく、なかなか、分業が進んだ世の中では難しいことなのだと思います。
白点病
白点虫が寄生して魚の体表上に白い白点のようについていきます。初めは2、3点ですが、2,3日後には、体中に寄生されています。
特にヒレに寄生しているところから発見できることが多いです。エラに寄生されると、魚にとっては致命的でだめになってしまいます。体全身に寄生されていくと、そのようなことになりますが、見つけ次第対処することで回復をはかれる病気の1つです。
治療法は薬を使う方法と、自然薬のように唐辛子を使う方法があります。 魚病薬を使った治療は説明書通りに行なってください。
唐辛子を使った治療は経験と勘が必要です。また、実施されてトラブルが起きることもあります。よく検討してから自己責任でご実施ください。
60リットルの水槽に対して、およそ二本分の乾燥唐辛子を種を抜いて輪切りにしたものを、お茶出し用のネットに入れて水槽に入れておきます。
これを毎日一回、新しいものと取り替えていきます。こうやっていくことで魚の粘膜を刺激して、多くの分泌物がでてきて、白点虫が再寄生できなくなっていき、だんだんと魚の体表から消えていきます。およそ1週間から10日程度で消えていくことが多いです。
実施してわかったことは、非常に若い魚、幼魚の状態や、ドジョウの仲間などはこの方法やってもほとんど効果は見られないということがありました。この治療を行ってもどうしても落ちてしまう魚のいると考えておいた方が良いでしょう。
尾ぐされ病
この病気は頻繁に見られることが多い病気の一つです。特にヒレが長くて大きい魚に発生することが多いように思います。たとえば、ベタやグッピーなどヒレの大きい魚がこの病気にかかると、かなり被害が大きくなって、見た目も損ねてしまいます。この病気の原因は、フレキシバクター・カラムナリスという細菌がヒレに感染してドンドンとヒレの細胞を破壊していってしまうことです。
基本的には水がきれいな状態になっていなくて、細菌が発生しているということが原因ですので、水替えをするということが望ましいです。特に水槽をセットしたての頃で、ろ過装置の中でろ過バクテリアが十分に機能していない時に起こりやすい気がします。
また、海水塩をある程度の濃度、0.1%から0.3 %程度加えることで、多少この細菌が減って、症状が改善されることもあります。また、魚病薬においてもかなり治療実績があり、期待できます。
穴あき病
魚の体の表面に赤い点のようなものができて、そこから盛り上がってきて、ウロコがはがれはじめて、体に穴が開いていきます。
穴は徐々に広がっていき次第に非常に大きな穴となってしまい、やがて魚はだめになってしまいます。エロモナス菌という細菌が原因で発生するものです。
この細菌による病気は、他にも発生する部位によって様々な病名がついています。
基本的にこの細菌が多発して、魚に悪そうするのは水替えを長期間行っていない時などです。どうやら、ろ過バクテリアが働いて、最終的にできた浄化物質がこの細菌を増殖させる元となっているようです。
この病気には薬も市販されています。また、他の細菌が傷口から感染しないように海水塩を少し水槽に入れるということも処置の1つではあります。しかし、この病気にかかってしまうと回復する確率はかなり低いといえます。
基本的には水換えをサボらないように日ごろから心がけることが大切です。
松かさ病
魚の体中のウロコが逆立ってしまい、松ぼっくりの傘が開いたようになってしまう病気です。
魚が普段よりも一回り大きくなったように見え、よく見るとウロコがすべて反り返ってるのが分かります。基本的にこの病気にかかった場合には、助かる確率はかなり低いです。
この病気の原因はエロモナス菌という細菌が原因で薬もありますが、発生してからではあまり治療の効果というのは高くはないと思います。
とにかく日ごろから水槽を汚くしないように心がけるということが一番なのだと思います。
発生した場合にはやはりすぐ、水換えを行って、これ以上他の魚が病気にならないように気をつけることは必要だと思います。
また、場合によってはこの病気にかかった魚を、一匹だけ他の水槽へうつして隔離治療したりします。このエロモナス菌という細菌は水槽の中で常に存在していて、決して消えることはないそうです。ただ、水中である物質が増えてくると大増殖をして、悪さをするように思います。
ポップアイ
この病気にかかった魚は、目玉が普段よりもでっぱり、飛び出してしまいそうにみえます。
水替えをサボっているときに、エロモナス菌という細菌が魚の目の裏に寄生して増殖した場合に、このような病気になります。
水が古くなっているということが考えられますので、水換えをして他の魚が病気にならないようにします。
基本的に病気にかかった魚を治療することはなかなか難しく、実際にはダメになることが多いように思います。日頃から水替えをすることが一番の対策です。
腹水病
魚が浮き上がってしまいうまく泳げなかったり、水槽の底に沈んでしまい浮き上がれなくなってしまう病気です。浮き袋にエロモナス菌という細菌が増殖してうまく機能できなくさせているようです。
治療できたこともありますが、あまり期待はできません。また、ほかの細菌や原因がある場合もあります。
この病気になっても、大きい魚は長い間生き続けることもあります。また、餌を食べた直後だけ、浮き上がってしまうのは病気ではありません。
イカリムシ
体表に目で見て分かるような寄生虫がついてしまいます。体の体液をすいつづけて、傷口から他の病気にかかることもあります。
ピンセットで取ったり、薬を使ったりして治療します。
ウーディニウム病 (コショウ病)
白点病よりもずっと小さく、少し、茶色がかった粉のような虫が寄生して、魚の体表にコショウをまぶしたように見えます。
熱帯魚の病気以外の症状
目の白濁
目の表面の粘膜が白くなることがあります。ぶつけた怪我、他の魚に攻撃された、PHが下がりすぎた、急にPHが上がった、様々な原因が考えられます。
回復を待つ以外にありません。
鼻上げ
水中の溶存酸素の濃度が下がると、鼻をあげて口をパクパクとして空気中から酸素を取り入れようとします。このときには水中には酸素が残り少なく、息苦しい状態となっています。
すぐにエアレーションをしてあげて、酸素を供給します。エアーを送るとすぐに通常の状態に戻ります。
また、二酸化炭素を添加している水槽の場合、添加しすぎるとこのような状態になることがあります。CO2が多すぎても息苦しくなるようです。
やけど
ヒーターに接触してやけどするというものです。魚は痛みを感じないそうです。そのため、熱いという感覚がなく、ヒーターに接してしまいやけどをしてしまうようです。
カバーなども売られていますが、あまり、このような状態になったことはありません。また、もし熱が小さい魚に伝わったらすぐに煮えてしまいそうな気もします。
水底で動かなくなる、水槽のすみでじっとしている
浮き袋が正常に機能しているようであれば、怯えている可能性があります。同種や多種の似たような魚に攻撃されていないかチェックすることが必要です。
このような魚がいじめられている時は、いじめられている魚ではなく、いじめている魚を隔離するのが通常です。しかし、一番強い魚を隔離すると、また、次に強い魚が威張り始めます。
自然の競争です。
数が3匹以上いるとマシになることがあります。2匹というのが一番危険な状態で攻撃されている方が落ちる可能性もあります。
魚種ごとにかかりやすい病気
魚種によってかかりやすい病気があります。これらは特徴的なのでその魚を飼育している場合には気に留めておくべきだと思います。ネオン病、グッピーエイズ、シクリッド病(ディスカスエイズ)、コイヘルペスなどがあります。
テトラの病気 - ネオン病
テトラがかかる病気として、ネオン病などというものが有名です。一晩で水槽中のネオンテトラが全滅することもあります。これは原因は、ある細菌なのです。
ネオン病
ネオンテトラのネオンの色が薄くなってしまうため、こう呼ばれています。エロモナス菌が原因のようです。進行が早く、一度に大量に落ちることもありますので、注意が必要です。
原因はエロモナス菌の増殖なので、亜硝酸、硝酸の蓄積に気をつけて、水替えを怠らないことだと思います。
卵胎生メダカの病気 - グッピーエイズ
卵胎生メダカの病気として、特有なものにグッピーエイズという怖い名前の病気があります。名前の通り怖いです。しかも、感染率も確実なほど高く、下手をすると、100%の確率で、一日で全滅です。
グッピーエイズ
このような名前で呼ばれるのには、やはり怖いわけがあり、とにかく、経験した人は、一日のうちに水槽内の全ての卵胎生メダカを失うことになります。
それも不思議なことですが、国内産のグッピーなどの卵胎生メダカだけが落ちるのです。それも一晩で。同じ水槽に海外産の卵胎生メダカを入れたりした時に、そのメダカがなんらかの病原体をもっているようで、あっという間に、伝染して水槽中が壊滅的な状態になります。
しかも、なぜか、その海外産の卵胎生メダカはなんともないのです。
しかし、その海外産のメダカも時期に落ちてしまうのですが、なぜだかさっぱりわかりません。
いまでは、研究も進み、ブリードでも気を使って、海外産だからだめだということはないかもしれませんが、昔は怖かったです。
シクリッド、ディスカスの病気 - ディスカスエイズ、シクリッド病
シクリッドの病気特有の病気にシクリッド病というものがあります。これは原因は推定でしかわかりませんが、魚種により、特徴的な症状がでて重症な状態となります。
ディスカスエイズ
大型のシクリッドに発症することが多いのですが、かなり致死率の高い危険な病気です。原因はよくわかりませんが、何らかの菌がシクリッドに感染して重症化させるようです。体表が真っ黒くなって、粘液を大量に流出します。見ていても辛いです。餌も食べなくなり、長い時間をかけて弱っていきます。初めて見る人は、その期間はずっと辛い気分を味わうと思います。
ディスカスで発生すると、ディスカスエイズと呼ばれたりします。エンゼルフィッシュなどでも同じ症状が発生します。
細菌が体表の粘膜に寄生しているのだと思われますが、詳しいことはわかりません。薬を使ったり、海水塩で治療を行うことができます。
実際に海水塩で回復した個体もあれば落ちた個体もあります。薬でも完全ということはないようです。伝染すると言われています、確かに1匹が症状が出始めると、他の魚も同じ症状になっていきます。
しかし、新しい水槽で発生しやすい、一度、水槽全体が回復したら、二度と発生しない、などということから、常在菌なのかもと思ったりもします。新しい水槽では、その原因菌が増えやすく、ディスカスの栄養たっぷりの粘膜がいい増殖場所となっているのかもしれません。
ディスカスは粘液を稚魚に餌として食べさせます。黒くなるのは粘液を出している証拠です。稚魚に食べさせる時も黒っぽくなります。
白点病にはほとんどかからないのですが、こういう細菌には弱いようです。
ただ、ディスカスでは系統的に黒くならない種類がいます。
それは、アルビノ系の個体や、ピジョンブラッドディスカスなどは、ディスカエイズにかかっても、黒くなる症状がでません。元気がなくなったり、餌を食べなくなったりしていたら、おそらく、この病気にかかっていると考えるのだと思います。
また、他のシクリッド種で、この病気にかかったことをシクリッド病と呼ぶこともありますし、他の症状の病気のことをシクリッド病とも言うようです。
シクリッド病
おそらく、なんらかの病原菌が原因で次から次へと、健康そうに見える魚が落ちていくことがあるそうです。
それも、1日や2日のうちに落ちることがあるようです。これらのことをシクリッド病と言っていることがあります。
なにか、腹水病のような感じで、体の内部に菌が入って魚をだめにしたり、伝染したりするようです。
実際のところはよくわかっていないようです。
そのため、対処も非常に難しく困難を極めると思われます。
とくに、珍しいワイルドものを珍重するようなシクリッドの魚種が多い多いようなものは、何らかの病原菌が着いていても不思議はありません。世界中の河川の中には未知の病原菌がいるかもしれません。
そういういこともあり、ほんとうに、どの病原菌が発症したかなどというのは、基本的に、菌を特定したりしない限りは判断することは、不可能です。
症状が同じでも、別の菌が原因の場合は、違う病気ですし、薬も効いたり効かなったりします。もちろん、動物界の一般常識的なことのように、耐性菌というものも発生しうるようです。
そういう意味で、広く考えると、このような意図しない非常に凶悪な病原菌に対しては無力となるのかもしれません。
それよりも、水質の悪化や、飼育方法の間違いなどで起きる、病気や怪我を防ぐことのほうが、魚の健康を保つ意味では、よっぽど有効な方法だと思います。
鯉の病気 - 鯉ヘルペス
鯉の病気として、漁業の分野まで問題になりました。鯉ヘルペスというものがあります。また、日本が唯一、輸出しているといえる観賞魚として錦鯉があります。金魚もありますが、もちろん、錦鯉の金額と比べたら比較になりません。
コイヘルペス
あまりに有名なコイヘルペスウイルス病です。発病したら頭がでこぼこしてきて100%だめになります。ウィルスを抑えられても、完全に除去できないなど、様々な問題があるようです。
日本の野生の鯉にまで大量発生の被害があるくらいで、大変な病気です。
金魚の病気 - イカリムシ、ウオジラミ、寄生虫
金魚の病気としては、原因菌は様々ですが、とくに多いというものがいくつかあります。金魚は簡単で、身近な存在だけにここから魚を飼育しはじめる人も多いと思いますが意外と、手強いところがあるかもしれません。
以前、熱帯魚を上手く飼育できるようになって調子にのって、金魚を買ってきて飼育しましたが、翌日にだめになるという経験をしたことがあります。その時の原因はいまだに不明なのですが、想像ですが、細菌かなにかが原因であったと思われます。
それまで底砂にソイルを敷いて何年間も熱帯魚を飼育していたのですが、その環境では細菌類が結構いたかもしれません。熱帯魚にはなんともなくても、きれいなプラ舟で無菌状態でそだてられた金魚、とくに琉金型の金魚にはきつかったのかと思います。
金魚も和金のようなタイプはなんともなくても、改良された品種ほど弱いところがあることもあるようです。
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